1948年(昭和23年)に環境省が定めた温泉法という法律があります。
温泉の保護や利用について定められた法律です。
この温泉法で、1982年から2014年まで妊娠中の入浴(特に初期・末期)が禁忌症とされていたのはご存じでしょうか。
禁忌症とは、1回の入浴や飲用でも害が出る可能性のある状態のこと。
専門的知識のある医師が指導していればいいのですが、そうでない場合は避けた方がいいというものです。
科学的に検証した結果、妊婦が温泉に入っても問題ないことがわかり、2014年に改訂されました。
今回は妊娠・出産後の入浴についてご紹介します。
1.妊婦さんは温泉に入ってはいけない? |
1-1.レジオネラ菌に感染するとどうなる? |
2.妊娠中に温泉に入る際の注意は? |
3.産後の入浴はいつから? |
妊婦さんは温泉に入ってはいけない?
温泉法では、特に妊娠初期と妊娠末期の温泉入浴について避けるようにと言われていました。
これは、妊婦さんの血圧や体温が上がって具合が悪くなる・倒れるなどの危険があるためだそうです。
共同浴場や温泉は、レジオネラ菌のような雑菌に感染するリスクがあることも理由です。
現在は科学的に検証された結果、妊婦さんの温泉入浴は禁忌症とはされていません。
しかし血圧や体温の上昇などは変わらないため、妊娠中期の安定期に温泉入浴するのがいいという意見が多いようです。
レジオネラ菌に感染するとどうなる?
レジオネラ菌に感染して肺炎になると、高熱を出す、意識障害を起こすなどの症状が出ます。
妊婦さんのように免疫が低下している人には、影響が大きく出てしまう可能性があるようです。
妊娠中に温泉に入る際の注意は?
妊娠中のママが温泉に入るときに、気を付けた方がいいことを以下にまとめました。
- できるだけ妊娠中期(安定期)に
- お医者さんに温泉入浴を相談する
- 湯船につかるのは10分程度にする
- サウナや岩盤浴は避ける
- 倒れたときに発見・対処が遅れるので、一人で入らない
- 雑菌感染リスクを下げるため、イスなどをよく洗って使う
- 母子手帳、健康保険証を持参する
- 温泉の近くにある産婦人科を調べておく
- 遠くの温泉、往復が大変な場所にある温泉には行かない
- 体調不良のときは温泉に入らない
- 水分をしっかりとる
- のぼせないようにする
妊娠初期は胎盤がまだ安定していないため、流産や早産の危険性が高い時期です。
妊娠後期はお腹が大きくなるので足元が見づらく、転倒の危険があります。
また、破水や産気づいてしまう可能性もあるため、リスクを避けるなら妊娠中期(安定期)がいいでしょう。
破水したら湯船にはつからないようにしましょう。
入浴施設でも、妊婦さんの温泉浴は自己責任でと言われてしまうことがあるようです。
前もってお医者さんや温泉宿に相談、確認した上で、温泉に入るのがいいでしょう。
産後の入浴はいつから?
産後は一般的に、一ヶ月ほど湯船につからないようにとお医者さんから指導されます。
これは子宮口から細菌が入り、感染症を起こす危険があるためです。
帝王切開の場合でも、切開した箇所から細菌感染の可能性があるため、湯船に入るのを避けるよう指導されます。
子宮口が閉じるまで、出産後4週間ほどかかります。
出産後の1ヶ月健診で、湯船につかる許可が出ることが多いようです。
それまではシャワーで済ませましょう。